香　川

　明媚な眺望に恵まれた地に佇む、山の緑に映える真っ白な外壁が印象的なIさま邸。軒や小庇が生み出す陰影が時の経過とともに形を変え、シンプルなフォルムに立体感を醸し出している。住居部分からつながるガレージには、ご主人の趣味である愛車が並ぶ。
　息子さんの家を建てた「菅組」の建築に魅了され、同社での家づくりを決めたご夫婦。ご主人の希望である「趣味に没頭できるガレージ」や、奥さまの望んだ「便利な家事動線」などを基に、設計士と何度も打ち合わせを重ね、理想の住まいを完成させた。
　吹き抜けになったリビングは、シンプルな白を基調としつつも、構造材の一部を見せることで木のぬくもりを出した空間。薪ストーブやスチール階段といった、それぞれに異なる質感をもつ素材を取り入れることで、空間がすっきりと引き締まり、一体感も生まれた。市街地の眺望や春の桜を楽しめるよう、南西に面したダイニングスペースにある掃き出し窓は開放口を大きくとった。窓からの風はダイニングからリビングを通り、続く木製の扉を開ければ玄関や奥さまの事務作業室、そして最終的にはガレージへと抜けていくよう設計。
　キッチンからパントリーを通り、脱衣室や浴室へとつながる動線を確保。リビングと壁を隔てた動線なので、急な来客がある時には目隠しにもなっている。
　ご主人念願のガレージは、住居と同じ白を基調とした外観に。多くのこだわりをカタチにした住まいで、ご夫婦は充実した毎日を過ごしている。