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【瀬戸内の名道】愛媛県のシーサイド・ドライブルート。

「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。愛媛県にも一度は訪れてみたい美しい名道が存在。今回は風光明媚な瀬戸内海の風景を間近に楽しめる愛媛県の絶景シーサイド・ルート4路線を走ってみた。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

①佐田岬メロディーライン(一般国道197号)

日本で最も細長い半島として知られる愛媛県の佐田岬半島を走る国道197号は、「メロディーライン」と呼ばれている。半島の中央線上の尾根伝いを貫く道路で、左右眼下には宇和海、瀬戸内海の美しい景色が広がる。

日本で最も細い半島を走る見晴らし抜群のドライブ・ロード。

八幡浜市から伊方町三崎まで走る国道197号の愛称が「佐田岬メロディーライン」。佐田岬半島の付け根から先端まで伸びており「頂上線」とも呼ばれる。
一部区間には路面からタイヤの走行音によって車が曲を奏でるように舗装されている。
半島の区間には「伊方きらら館」と「瀬戸農業公園」の2つの道の駅があり、地元の農産物などを販売している。
360°のパノラマが広がる絶景ビューを堪能できる「せと風の丘パーク」も立ち寄りたいスポット。立ち並ぶ風力発電機群も一望。

道中には、自動車のタイヤの接地音が旋律となって車内に流れるメロディー道路が存在。「みかんの花咲く丘」「瀬戸の花嫁」「うみ」の3曲がメロディーを奏でる。沿線には2つの道の駅や、風力発電の巨大な風車が立ち並ぶ「せと風の丘」など見どころも満載だ。

四国の最西端「佐田岬灯台」へ。

メロディーライン終点の伊方町三崎地区から半島の先端までは県道256号で。道幅が細く対向車と離合しにくい区間もあるので運転に注意。
瀬戸内海の伊予灘と宇和海を隔てる佐田岬半島はリアス式海岸をなしており、急峻な山地がほとんどで平地はほとんどない。
四国最西端・佐田岬灯台までは、駐車場から徒歩で約2kmの道のり。
佐田岬灯台から望む景色。対岸には九州・大分県の佐賀関が見える。

メロディーライン終点の三崎地区から、道はそのまま県道256号に接続している。曲がりくねった道を約15km走れば四国最西端・佐田岬灯台の駐車場にたどり着く。

佐田岬メロディーライン(一般国道197号)

【アクセス】松山道大洲ICから国道56・197号経由で約26km
【所在地】愛媛県八幡浜市~西宇和郡伊方町 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】0894-54-2225(佐田岬ツーリズム協会) https://www.sadamisaki.com

②夕やけこやけライン(一般国道378号)

愛媛県伊予市双海町から大洲市長浜町にかけての国道378号は、水平線に沈む美しい夕日を眺めながらドライブを楽しめるルートで、「夕やけこやけライン」の愛称で親しまれている。ルートの大半が青々と広がる伊予灘沿いを走っており、アップダウンが少なく走行しやすい。

沿線にはカップルにおすすめのロマンチックな観光スポットも。

右側には夕焼けに染まる伊予灘、左側には緑豊かな山並みが続く自然あふれるロケーションも魅力。信号や傾斜が少なくスムーズに走行しやすい。
区間内には「道の駅ふたみ」や、復元した常夜燈が立つ「第一休憩所」など、車を停めてゆっくりと景色を堪能できる休憩スポットもある。
JR予讃線が並行して走っている。日本一海に近い駅として有名な伊予下灘駅など、カップルに人気の観光スポットが多いのも特徴。
大洲市の櫛生(くしう)漁港周辺から見る夕暮れ。沈みゆく夕日とともにロマンチックなムード感が高まっていく。

旅情あふれるローカル線のJR予讃線が並走しており、日本で最も海に近い駅と称されるJR下灘駅も立ち寄りたいスポットだ。道中にある「道の駅ふたみ」に併設する「ふたみシーサイド公園」は、「日本の夕陽百選」に選ばれている絶景スポット。海に突き出た恋人岬をはじめ、願い石や幸せの鐘などもあり、「恋人の聖地」として人気を集めている。

夕やけこやけライン(一般国道378号)

【アクセス】松山道伊予ICから国道56号・378号経由で約5km
【所在地】愛媛県伊予市双海町~大洲市長浜 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】089-986-0522(道の駅 ふたみ) https://www.futamiseaside.com

③今治・道後 はまかぜ海道(一般国道196号)

愛媛県今治市と松山市を結ぶ国道196号は、美しい瀬戸内海を横目にドライブが楽しめる海岸沿いの道。近年は「今治・道後はまかぜ海道」の愛称でサイクリングコースとしても人気で、今治市のしまなみ海道からこの道へ訪れるサイクリストも多い。

心地良い潮風を感じながら疾走する海岸線。

きらめく斎灘(いつきなだ)を横目に走ることができる海沿いルート。吹き抜ける爽快な潮風を感じながらのドライブは爽快。
アップダウンが少なく、海岸線の絶景が続く路線はサイクリストにも人気。
道の駅「風早の郷 風和里」の目の前には海水浴場があり、波打ち際をゆったり散策できる。夏には多くの海水浴客が訪れている。
ドラマ『東京ラブストーリー』の最終回にも登場する伊予鉄道の「梅津寺駅」。駅の目の前が海岸で、休日にはカップルや家族連れでにぎわう。

昼はキラキラ輝く青い海、夕刻は夕陽に染まったオレンジ色の海など、時間帯によって異なる瀬戸内海の表情を見られるのも魅力。ルート沿線には、海水浴のメッカで道の駅もある長浜海岸をはじめ、野生の鹿が生息する鹿島、花崗岩の巨石群・白石の鼻、伝説のドラマ「東京ラブストーリー」最終回のロケ地となった伊予鉄道の梅津寺駅など、立ち寄りたい場所も多い。

今治・道後 はまかぜ海道(一般国道196号)

【アクセス】松山道松山ICから松山外環状道路・松山環状線経由で約13km
【所在地】愛媛県松山市平田町、今治市菊間町など 24時間通行可能 通行無料

【問い合わせ】089-911-7700(道の駅 風早の郷 風和里) http://www.fuwari.or.jp

④ゆめしま海道(愛媛県道338号 岩城弓削線)

瀬戸内の穏やかな多島美を眺めながらドライブを楽しめる「ゆめしま海道」は、愛媛県上島町の4つの島を結ぶルート。弓削島、佐島、生名島、岩城島の4島を結び、2022年に全路線が一続きになった。

まずはフェリーで弓削島へ上陸。

ゆめしま海道起点の弓削島にはフェリーで。しまなみ海道途中の島・広島県の因島にある家老渡港と上弓削港を結ぶ定期航路に乗船。
フェリーは20~30分おきに運航されている。車に乗ったまま約20分の船旅。
弓削島の上弓削港に到着。どこかのんびりとした時間の流れる
のどかな島の風景が広がる。
近年はサイクリングに訪れる人が増えている。各島にレンタサイクルもあるので、自転車での島巡りも楽しい。島の外周ルートや脇道に入り、島時間を堪能するのも◎。

道中には信号が1基もなく、交通量も少ないので、島の原風景ともいえる素朴な情緒を味わいながらドライブを満喫できる。全国のサイクリストからは「ミニしまなみ海道」とも呼ばれ、近年注目を集めている道でもあり、各島で借りられるレンタサイクルでのんびり走るのも楽しみ方のひとつだ。

流麗なデザインの「弓削大橋」を渡る。

弓削島と佐島との間に架かる「弓削大橋」には、ゆったりとした歩道・自転車道もあり、安心してサイクリングも楽しめる。
「弓削大橋」は1996年に開通した全長980mの斜張橋。
佐島にも寄り道して島をぐるりと散策。空と海が美しい絶景ビーチなど、豊かな瀬戸内の自然を存分に味わえる場所。

弓削島から最初に渡るのが佐島。両島の間には鳥が羽を広げたような流麗なデザインの「弓削大橋」が架かっている。ルート上には起伏が少なくスムーズに走りやすい。特に橋の上からは瀬戸内ならではの素晴らしい多島美を望める。

生名島で瀬戸内の島の原風景に心癒やされる。

佐島と生名島を結ぶ「生名橋」は全長515mで2011年に完成。車道が1.5車線の珍しい斜張橋。この橋から見下ろす瀬戸内海の景色も絶品だ。
生名島の西側には美しい海岸が延々と続いており、瀬戸内の自然を五感で体感できる。波が静かに打ち寄せる風景を見つめていると心が癒やされる。
最後までつながっていなかった生名島と岩城島の間には、2022年に「岩城橋」が完成。「ゆめしま海道」は全線開通した。

佐島から「生名橋」を渡って生名島へ。美しい海岸線をはじめとする島の原風景ともいえる素朴な情緒を味わいながら、シーサイド・ドライブを満喫できる。「ゆめしま海道」は全国のサイクリストから「ミニしまなみ海道」とも呼ばれており、近年にわかに注目を集めている。各島で借りられるレンタサイクルでのんびり走るのも楽しみ方のひとつだ。

ゆめしま海道(愛媛県道338号 岩城弓削線)

【アクセス】しまなみ海道で因島へ。家老渡港から弓削島行き、もしくは土生港から生名島行きのフェリーに乗船
【所在地】愛媛県越智郡上島町 24時間通行可能 通行無料

【問い合わせ】0897-77-2252(上島町産業振興課) https://www.kamijima.info/sightseeing/yumeshima-kaido

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