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【瀬戸内の名道】広島県のシーサイド・ドライブルート。

「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。広島県にも一度は訪れてみたい美しい名道が存在。今回は風光明媚な瀬戸内海の風景を間近に楽しめる広島県の絶景シーサイド・ルート2路線を走ってみた。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

①かきしま海道(一般国道487号)

広島県呉市街から南下し、瀬戸内海に浮かぶ同市倉橋島と江田島市の江田島・能美島を巡る国道487号。近年はJR呉駅から江田島の切串港までの区間がサイクリングロードとしても整備され、「かきしま海道」の愛称でサイクリストたちからも親しまれている。

平清盛ゆかりの名勝地「音戸の瀬戸」。

1961年完成の「音戸大橋」。倉橋島側の降り口となっている螺旋状の高架橋は日本で初めて採用された。日本で最も短い定期航路「音戸の渡し」も有名。
音戸大橋の本土側にある「音戸の瀬戸公園」からも趣ある風景を一望できる。
音戸の瀬戸公園南の小高い丘に立つ平清盛像。沈む夕日を招き返して
開削工事を1日で成し遂げたという「日招き伝説」が残る。
音戸の瀬戸に架かる2つのアーチ橋が美しい風景に花を添えている。
手前の第二音戸大橋は2013年に完成。

本土と倉橋島の間には「音戸の瀬戸」と呼ばれる海峡が存在。厳島神社に参詣する航路として平清盛が開削したという伝説がある景勝地で、真紅のアーチ橋と青い海が織りなす美しい風景は一見の価値ありだ。

音戸の瀬戸について詳しくはこちら

車窓に広がるのは、カキ筏が浮かぶのどかな風景。

たくさんのカキ筏が浮かぶ広島ならではの風景が広がる。
周辺海域は入り組んだ地形で海に養分が富んでおり、カキ養殖に最適な環境。
カキ筏が浮かぶ澄み渡る海を眺めながら瀬戸内の島ドライブを満喫して。
濃厚で繊細な味わいが広島カキの特徴。いろいろな食べ方で本場の味を楽しみたい。

かきしま海道周辺の海域は入り組んだ地形でミネラルが豊富なため、カキの養殖が盛ん。海沿いの道を走っていると、物干しざおのようなカキの養殖筏がずらりと並ぶ光景が目に入る。プリッとした口ざわりととろけるような味わいがたまらない本場のカキをぜひ食したい。

能美島・江田島で歴史と文化の息吹を感じる。

倉橋島と能美島を結ぶ「早瀬大橋」。
能美島・江田島の全景。
写真提供/江田島市観光協会

倉橋島と「早瀬大橋」で結ばれている江田島・能見島には、遣唐使船が立ち寄った港をはじめ、「長門の造船歴史館」「旧海軍兵学校」など、歴史と文化の息吹を感じる観光スポットが豊富だ。カヌーなどのマリンスポーツ体験施設もあり、海風を肌に感じながら豊かな自然の中でアクティビティも楽しめる。

江田島・能見島について詳しくはこちら

かきしま海道(一般国道487号)

【アクセス】広島呉道路(クレアライン)呉ICから国道185・487号経由で約8km(音戸大橋)
【所在地】広島県呉市宝町~江田島市江田島町切串 24時間通行可能 通行無料

【問い合わせ】0823-42-4871(江田島市観光協会) https://etajima-kankou.jimdo.com

②さざなみ海道(一般国道185号)

広島県の南部、尾道市、三原市、竹原市、東広島市、呉市の5つの市を通る国道185号。前述の「かきしま海道」と同様にサイクリング・ロードとして整備され、こちらは「さざなみ海道」の愛称で親しまれている。映画と坂の街で知られる尾道、タコで有名な三原、安芸の小京都とも呼ばれる竹原、歴史ある港町の呉など、それぞれ個性的な顔を持つ街をつなぐルートだ。

情緒豊かな瀬戸内の風景が広がる竹原市~三原市間。

近年は格好のサイクリングルートとしても人気を集めている「さざなみ海道」。沿道にはサイクリストが気軽に立ち寄れるサイクルポートのほか、展望の良い休憩所なども整備されている。
全長約70kmのうち海沿いを通っているのは約半分ぐらい。三原~竹原間は海岸線に面している箇所が多く、交通量もあまり多くないのでスムーズに走れる。
車窓から瀬戸内海の多島美やフェリーが行き交うのどかな風景が眺められる。遠方には、しまなみ海道の「多々羅大橋」も見える。
三原市区間を走っていると、厳島神社をほうふつとさせる海に立つ赤い鳥居が現れる。これは「稲荷神社」の鳥居で、国道を挟んだ向かい側に本堂がある。

路線の中でも特に竹原市から三原市の区間は海岸に面している場所が多く、カキ筏が浮かぶのどかな瀬戸内海や、造船所、港町などの抒情的な風景が車窓を通り過ぎていく。窓を開ければ吹き込んでくる心地よい潮風と磯の香りに癒やされながら、海辺のドライブを満喫できる。

“安芸の小京都” 竹原市の歴史的町並み保存地区をぶらり。

さざなみ海道を訪れるなら、平安時代に京都にある下鴨神社の荘園として栄えたことから「安芸の小京都」とも呼ばれている竹原市の「歴史的町並み保存地区」にも立ち寄りたい。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定され、古き良き日本の情緒と風情が漂う町並みをぶらりと歩けば、まるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚に。先人の知恵や工夫が施された風格ある伝統建築をじっくりと見学してみよう。

また、ここはアニメ「たまゆら」の舞台。近年は「アニメ聖地」としても人気を集めており、作品に登場する実際の建物を巡る「聖地巡礼」に訪れる人たちの姿も多い。

竹原の町並み保存地区について詳しくはこちら

“坂と映画の街” 尾道の迷路のような路地を散策。

広島県を代表する観光地のひとつ尾道市にも足を延ばしたい。坂道や住宅、寺社などが丘陵地にぎっしり立ち並ぶ街は尾道を代表する景観で、たくさんの映画やドラマ、小説などの舞台になった。細く入り組んだ坂道から見下ろす瀬戸内海や街の風景はどこかノスタルジック。歴史が息づくレトロ感たっぷりの区域は「猫の街」としても知られ、 路地や軒先などで自由気ままに過ごす猫たちにも出会える。

尾道の街について詳しくはこちら

さざなみ海道(一般国道185号)

【アクセス】山陽道福山西ICから国道2号経由で約10km
【所在地】広島県尾道市東御所町~呉市宝町 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】082-513-2423(広島県観光課) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/78/cyclinghiroshima.html

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