SETOUCHI MINKA

【瀬戸内の名道】兵庫県の山岳ドライブルート。

「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。兵庫県にも一度は訪れてみたい美しい名道がいくつも存在。今回は、県土の約7割が森林を占める兵庫県で、緑深き山々や眼下に広がる雄大な景色を堪能しながらドライブを楽しめる絶景山岳ルート5路線を走ってみた。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

①表六甲・裏六甲・西六甲ドライブウェイ

兵庫県神戸市にある六甲山は、神戸の市街地の西から北に位置し、東は宝塚市付近から西は須磨付近まで山並みを形成している。その主峰は標高931mで、神戸の町並みを一望できる絶景スポットをはじめ、世界の高山植物が見られる植物園、スリルと感動が味わえる本格的なアスレチックコース、雄大な自然と四季折々の表情を一望できるロープウェーやケーブルカーなど、数多くの観光スポットが整備されている。ドライブスポットとしても有名で、六甲山を走る「表六甲」「裏六甲」「西六甲」の3本のドライブウエーには休日になるとカップルや家族連れ、バイカーたちがドライブに訪れている。3本のドライブウェーはすべてつながっており、また、隣接する摩耶山、再度山を走るドライブウェーとも接続しているので、六甲山系のあちらこちらを巡りながら、その魅力を存分に堪能できる。

六甲山の南斜面を走るワインディング・ロード。~表六甲ドライブウェイ(神戸市道 神戸六甲線)~

神戸市灘区から六甲山へ上るルート。かつては有料道路だったが、2002年6月に無料化された。山頂まではいくつかのヘアピンコーナーがあり、軽快に駆け上がるダイナミックなワインディングが味わえる。スピードの出しすぎには注意。
六甲山の南斜面の急な落差を一気に山頂へと駆け上がるダイナミックなルート。
神戸市街の景色を見下ろしながらドライブを楽しめる。
カーブ地点では観光バスなどの大型車両が対向車線まではみ出して走ってくる場合もあるので注意が必要。
「西六甲ドライブウェイ」の六甲記念碑台から西へ約1kmの地点に接続。

「表六甲ドライブウェイ」は、神戸市灘区から一気に駆け上がる六甲山の南側コースで、いくつかのヘアピンコーナーなどもある走りごたえ満点のワインディングロード。途中には「鉢巻展望台」があり、神戸市街の美しい景色をゆっくりと見下ろせる。土日祝日は一部区間で二輪車の通行が禁止されている。

表六甲ドライブウェイ (神戸市道 神戸六甲線)

【アクセス】阪神高速3号神戸線摩耶出口から約12km(新六甲大橋下交差点)
【所在地】兵庫県神戸市灘区六甲山町など 平日24時間通行可能 ※一部区間で土日祝日二輪車通行禁止 通行無料
【問い合わせ】078-230-1120(神戸観光局) https://www.feel-kobe.jp

六甲山北側の緑豊かな山間を一気に駆け上がるルート。~裏六甲ドライブウェイ(神戸市道 有野六甲線)~

神戸市北区有野町唐櫃から六甲山へ登る「裏六甲ドライブウェイ」。「表六甲ドライブウェイ」と同様に元々は有料道路だったが、2002年6月に無料開放された。
勾配がゆるやかで、きついヘアピンコーナーも少なく全体的に走りやすい印象。展望が開ける場所はほとんどない。
ルート終点で「西六甲ドライブウェイ」に接続。

「裏六甲ドライブウェイ」は、神戸市北区から六甲山北側を登るルート。森の中を走る峠の道らしいカーブの連続で、6月から7月にかけては、沿道に多くのアジサイが美しく咲き乱れる。バイカーやサイクリストにも人気のコースだが、土日祝日は、一般車が0:00~5:00まで、二輪車は終日通行が禁止されている。

裏六甲ドライブウェイ (神戸市道 有野六甲線)

【アクセス】阪神高速7号線からと西出口から約3km
【所在地】兵庫県神戸市北区有野町など 平日24時間通行可能 ※土日祝日は0:00~5:00まで一般車、二輪車は終日通行禁止 通行無料
【問い合わせ】078-230-1120(神戸観光局) https://www.feel-kobe.jp

六甲山山頂部を東西に走るツイスティ・ロード。~西六甲ドライブウェイ(兵庫県道16号 明石神戸宝塚線)~

六甲山の尾根伝いを走る県道16号のうち、六甲山牧場付近から西側が「西六甲ドライブウェイ」。神戸市の森林植物園辺りまではタイトなカーブが連続するので、スピードとハンドル操作には十分気を付けながら森林浴ドライブを満喫しよう。
六甲山を走る各ドライブウェイでは、カーブ地点に番号が振られている。
山頂エリアにはハイキングルートが整備され、道路わきから延びる歩道が多数ある。
沿道にはアスレチックなど、家族連れで楽しめる施設も豊富。
六甲山の人気絶景スポット「六甲ガーデンテラス」。
「六甲ガーデンテラス」内に佇む「自然体感展望台 六甲枝垂れ」は、ヒノキ造りの展望台。ヒノキの優しい香りに包まれながら、枝葉のように張り巡らされたフレーム越しに、六甲山の美しい景色と自然を体感できる。
「六甲ガーデンテラス」の展望デッキからは、神戸の町並みから大阪湾を越え、和歌山まで見渡せる一大パノラマが広がっている。

「西六甲ドライブウェイ」は神戸市北区鈴蘭台付近から六甲山に上り、山頂付近の尾根を東西に走るルート。「裏六甲」「表六甲」の両ドライブウェイのほか、「芦有」「奥摩耶」「再度山」の各ドライブウエーとも接続している。東方面へ進むと絶景を拝める「六甲ガーデンテラス」や週末には家族連れでにぎわう「アスレチックパーク」など、観光スポットが多く存在する。

「六甲ガーデンテラス」など各種施設についての詳細はこちら

西六甲ドライブウェイ (兵庫県道16号 明石神戸宝塚線)

【アクセス】「表六甲」「西六甲」「再度山」「芦有」各ドライブウェーと接続
【所在地】兵庫県神戸市北区山田町など 平日24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】078-230-1120(神戸観光局) https://www.feel-kobe.jp

②奥摩耶ドライブウェイ(神戸市道 奥摩耶六甲線)

「奥摩耶ドライブウェイ」は、兵庫県神戸市灘区の一里山と摩耶山を結ぶ観光道路で、「西六甲ドライブウェイ」から分岐している。アップダウンは少なくカーブもゆるやかで、のどかな自然を愛でながら快適なドライブを楽しめる。

羊たちが放牧された牧歌的な風景がお出迎え。

「奥摩耶ドライブウェイ」に入ると、沿道に「六甲山牧場」の牧草地が広がっている。ここには羊などが放牧されており、のどかな高原風景に癒やされる。
「奥摩耶ドライブウェイ」には、「西六甲ドライブウェイ」の六甲山牧場前交差点から入る。
「六甲山牧場」では、羊や乳牛など多くの動物たちとふれあえる。チーズ工場や乳製品の直販店、牧場レストランなどもあり、休日には大勢の家族連れなどでにぎわう。
道中にある人造湖「穂高湖」。湖面に映る山の形が長野県の穂高岳に似ているためこの名になったとか。湖の周りには散策路が整備されており、湖のほとりで静かなひと時を過ごせる。
646年に法道仙人が開創したといわれる「摩耶山天上寺」。天空の大舞台からの展望をはじめ、金堂や天竺堂、摩耶天空之庭など見どころも多い。

沿線には、ヒツジやヤギ、ウマなどの動物とふれあえる「六甲山牧場」や、ハイキングコースや遊歩道が整備されている「穂高湖」、「摩耶自然観察園」など、家族で楽しめるスポットが豊富。

「六甲山牧場」についての詳細はこちら

森林浴ドライブのハイライトは「掬星台」からの雄大な景色。

「掬星台」からの絶景は一見の価値あり。特に日本三大夜景のひとつにも選ばれているここからの夜景は「1000万ドルの夜景」とも呼ばれており、ロマンチックな夜の輝きを心行くまで堪能できる。
ドライブウエーは「天上寺」付近が終点。ここから先は徒歩で。
「掬星台」までは徒歩で約9分。
神戸の顔ともいえるエリア「神戸ポートアイランド」もしっかり見える。
「掬星台」へは「摩耶ケーブル」とロープウエーの「まやビューライン」を乗り継いで上ることも可能。

何といってもここを訪れるハイライトとなるのが展望広場の「掬星台」。標高690mから見下ろす大阪や神戸の街並みは圧巻だ。特に夜景の美しさは絶品で、北海道の函館山、長崎県の稲佐山とともに「日本三大夜景」にも選ばれており、無数に広がる星のような煌めきが訪れた人すべての心をわしづかみにする。夜景を星に見立てて「手で掬えるほどの星が広がる」ことが地名の由来とも。なお、ドライブウエーの終点となる「掬星台」付近は一般車両の通行不可。通行止め手前のコインパーキングから徒歩約9分で展望広場に着く。

掬星台について詳しくはこちら

奥摩耶ドライブウェイ(神戸市道 奥摩耶六甲線)

【アクセス】阪神高速7号線箕谷ICから県道16号(西六甲ドライブウェイ)経由で約14km
【所在地】兵庫県神戸市灘区六甲山町中一里山~摩耶山 24時間通行可能 ※二輪車は終日通行禁止 通行無料 
【問い合わせ】078-230-1120(神戸観光局) https://www.feel-kobe.jp

③再度山ドライブウェイ(神戸市道 神戸箕谷線)

ドライブウエー途中の「諏訪山公園」にある「ビーナステラス」からの眺望。

兵庫県神戸市の六甲山系の再度山を走る全長約8.2kmのドライブウエー。1935年に開通したという歴史ある道で、開通当初は「奥再度有料道路」という有料道路だったが1974年に無料化された。現在も休日にはドライブ・ツーリングを楽しむファミリーやバイカーたちの姿が多く見られる。

森の中を駆け抜けるワインディング・ロード。

全体的に森の中を走っているような印象で、道路からの景色はそれほど開けていない。山頂付近までワインディングが多く、走りごたえは十分。
沿道にはガードレールの代わりに用いられている、年季の入った石積みのフェンスが多く見られる。
路線は見通しが悪く、激しいアップダウンや急カーブが連続しており、路線バスなどの大型車両の通行も多いので、運転には注意が必要。

ドライブウエー入口から激しいアップダウンや急カーブが連続しており、所々にはガードレールの代わりにヨーロッパの山岳道路で見られる石積みの壁が用いられている。

途中には神戸の絶景や豊かな自然を満喫できるスポットが点在。

路線を走っていると突如現れるらせん状の橋が「ビーナスブリッジ」。神戸でも指折りの夜景スポットとして知られている。
ループを描く「ビーナスブリッジ」を南に進んで行くと、神戸市街地の景色をより間近に鑑賞することができる。カップルのデートスポットとしても人気。
「大龍寺」の山門を過ぎ、しばらく進むと「再度公園」の入口がある。
広大な「再度公園」は春のツツジや秋の紅葉など、一年を通して自然を満喫できる憩いの場として広く親しまれている。園内には「神戸外国人墓地」などもあり、歴史の息吹を感じることもできる。
世界各地から約1,200種の樹木を集めた国内最大級の植物園「神戸市立森林植物園」。レクリエーションや森林浴、自然観察など、ゆったりとした時間を過ごせる。

沿線には、夜に錨や神戸市章の電飾が灯ることで有名なイカリ山・市章山や、「再度公園」「外国人墓地」などがある。中でも「ビーナスブリッジ」は神戸屈指の夜景スポットとして知られ、ループを描く橋の先へ進めばさらに夜景に近づけるロマンチックな名所だ。「神戸市森林植物園」付近で「西六甲ドライブウェイ」に接続。この道は23時から翌5時まで一般車両の通行はできないので、余裕をもって訪問したい。

再度山ドライブウェイ(神戸市道 神戸箕谷線)

【アクセス】阪神高速3号線柳原出口から国道2号、県道30号経由で約7km
【所在地】兵庫県神戸市中央区葺合町面谷 通行時間5:00~23:00 ※二輪車は終日通行禁止 通行無料 
【問い合わせ】078-230-1120(神戸観光局) https://www.feel-kobe.jp

④芦有ドライブウェイ(一般自動車道)

兵庫県芦屋市、西宮市、神戸市北区にまたがり、六甲山の東側を越えて、芦屋市街地と有馬温泉を結ぶ延長約10kmの有料道路。出入口は芦屋ゲート、宝殿ゲート、有馬ゲートの3カ所で、六甲山の自然の息吹を感じながらドライブを楽しめるコースだ。

ドラマ「半沢直樹」のロケ地にもなった夜景スポット「東六甲展望台」へ。

ドライブウエーの途中にある「東六甲展望台」からは、大阪平野や大阪湾、神戸港までを一望できる大パノラマが広がる。夜景スポットととしても有名。
芦屋と有馬を約30分で結ぶ有料道路。生い茂る緑や、道沿いから見える大阪平野の景色などを堪能しつつ、快適に走行できる。
広々とした無料駐車場が完備されており、車に乗ったままフロントガラス越しから景色を楽しめる。
周辺には鹿やイノシシなどの野生動物も生息している。
芦屋と有馬との間にある宝殿ゲートからは、西六甲ドライブウェイへと続く県道16号に接続している。

途中、標高645mの地点にあるのが「東六甲展望台」。人気テレビドラマ「半沢直樹」のロケ地としても知られ、神戸港から大阪湾までを見渡せる大パノラマを堪能できる。さらに、グラウンドゴルフ場やバーベキューサイトなどを備えた「奥池あそびの広場」もあり、家族連れの行楽スポットにも最適。ルート中間の宝殿ゲートには「西六甲ドライブウェイ」から乗り入れできる。

有馬温泉の旅館街を見下ろしながら、豊かな自然の中を軽快にドライブ。

有馬ゲートまでは見晴らしの良い爽快な下り坂が続く。脇見運転やスピードの出しすぎにはくれぐれも注意を。途中には有馬温泉郷や神戸市北区の住宅街、三田市方面までを一望できる「有馬展望台」もある。
ドライブウエーで最も長いトンネル「芦有隧道」。このほかにも有馬までトンネルを数本通過する。
太閤秀吉も愛した温泉地として知られる有馬温泉郷。運転の疲れを温泉で癒やすのもグッド。

宝殿ゲートを過ぎるとルートは終盤の下り坂にシフト。有馬ゲートまでは緩やかなカーブがいくつか続き、見晴らしが良く走りやすい区間になったかと思えばあっという間に有馬ゲートに到着。せっかくなら有馬温泉に浸かってドライブの疲れを癒やそう。

芦有ドライブウェイ(一般自動車道)

【アクセス】阪神高速3号線深江出口から国道43号、県道344号経由で約7km(芦屋ゲート料金所)
【所在地】兵庫県芦屋市、西宮市、神戸市北区 3~12月は24時間通行可能、1~2月は7:00~12:00 ※土日祝は二輪車通行禁止 芦屋~有馬片道¥950(普通車)
【問い合わせ】0120-38-0082(芦有ドライブウェイ) http://www.royu.co.jp

⑤猪名川渓谷ライン(兵庫県道12号 川西篠山線)

兵庫県猪名川町を南北に縦断する県道12号は通称「猪名川渓谷ライン」と呼ばれ、ノスタルジックな風情漂う里山風景と、猪名川の清らかな流れをそばに感じながらドライブできる道。ツーリングやサイクリングにも最適な走りやすいコースで、春には新緑、秋には紅葉が訪れた人の目を楽しませてくれる。

車窓に流れるのは、猪名川が清らかに流れるノスタルジックな里山風景。

ルート周辺に広がるのどかな農村風景に心癒やされる。
春の新緑や秋の紅葉が美しいルートで、シーズンには多くの人たちが
ドライブやツーリング・サイクリングに訪れている。
高さ30m、幅100mにおよぶ岸壁が屏風のようにそそり立ち、荘厳な景観を織りなす「屏風岩」。夏の夜には飛び交う蛍の光も幻想的に浮かび上がる。
道中にある「道の駅 いながわ」では、地元名物の十割そばを味わえる。
ルートを少し離れた集落には鎮守神を祀る八幡神社も。周辺には日本の原風景ともいえるような懐かしい情緒が漂っている。
猪名川の流れ。周辺一帯は 猪名川渓谷県立自然公園に指定されており、豊かな自然が広がっている。
丹波篠山方面へと進むごとに、ノスタルジックな情景が深まっていく。

ルート周辺一帯は「猪名川渓谷県立自然公園」に指定されており、猪名川沿いでは季節の草花が美しく色づき、ホタルが飛び交い、釣りも楽しめる。高さ約30m、幅約100mの岩壁が屏風のようにそそり立つ「屏風岩」や、「ふるさと兵庫100山」に選ばれている大野山、妙見山などの見どころも多い。

猪名川渓谷ライン(兵庫県道12号 川西篠山線)

【アクセス】中国道宝塚ICから国道176号、県道33号経由で約20km
【所在地】兵庫県川西市~川辺郡猪名川町 24時間通行可能 通行無料

【問い合わせ】072-766-8709(猪名川町産業観光課) https://inagawa-kanko.com

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