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SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA

生命を栽える ―いのちをうえる―

生命を栽える ―いのちをうえる―

 「瀬戸内」と聞くと、瀬戸の海を一望に見渡せる屋島(香川県)の麓にある四国民家博物館、通称「四国村」の古民家とその庭が眼に浮かびます。「民家はそれぞれの地方の身分証明書である」といわれ、山の中に農家があり、海辺に漁師の家があって、人々はそこで貧しくとも心豊かな暮らしを送ってきました。しかし、時代も社会も時々刻々と変化を遂げ、価値観も大きく変わりました。
 変わるといえば、一方には変わらない不変なことがあります。それがモノゴトの「本質」です。編集者時代の私は、現代日本の庭と汗と泥にまみれながら庭づくりの最前線で苦闘する作庭者を探し、庭の本質を求める取材旅を続けてきました。この巡礼ともいえる旅も基を辿れば四国村の古民家と庭との出会いが起因の一つです。
 長年取材を通してつかんだのは「人類と自然の関わり方」です。ここでいう庭とは、過去からの形を踏襲するばかりで創造性と現代性に欠け、形骸化したあの俗っぽい「日本庭園」などではなく、地球と人類をも含む真の「庭」です。
 太古の昔から変わらないのは、月の満ち欠け潮の満ち引き四季の移ろいです。どれも地球の自転・公転という大宇宙の大法則を人間の生命へ感受させます。いわば人間を取り巻く環境が自然界であり、人間の生命は人間界を構成しています。この二つの世界を媒介させるのが「庭」ではないでしょうか。
 作庭が他の職種と大きく異なるのは生命が通う樹木を「植栽」すること。樹木は人間界と自然界とを結びつけ、樹木を植える行為は生命の営みと風景を栽えることに繋がり、地球温暖化による気候変動を抑える大きな力を宿しています。この本質に基づいた「庭」は私たちへ「生きる歓び」を享受させます。その歓びを幸福とも呼び、平和の代名詞でもあり人類共通のグローバルな願いでもあります。
 「幸せの最初の条件は人間と自然の繋がりを侵されぬ生活」とは、文豪トルストイの格言です。美しき母なる地球の環境と栄えある未来創造のためにも日本の瀬戸内から真の「庭」づくりを本書から発信し続けていただきたいと願っています。

作庭評論家 豊藏 均  Hitoshi Toyokura

1955年千葉県生まれ。隔月刊誌『庭』前編集長。取材を通じて現代の日本全国の庭を目にし、作庭者と交流を結ぶ。これまでの主な仕事は、『ガーデンテクニカルシリーズ全6巻』・『大北望庭園作品集 水と庭の精神』。著作は『現代ニッポンの庭 百人百庭』・『庭暮らしのススメ』いずれも建築資料研究社刊と『桂離宮に学ぶ 敷石と飛石の極意』講談社刊。(一般社団法人)日本庭園協会評議員。

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Book Introduction

  • 新発売!『瀬戸内の家と庭。』
    2023年10月18日発売 価格1,760円(税込)
    瀬戸内の豊かな環境で、庭のある住まいを建てたいと考える人たちに向けた一冊。理想の庭とマイホームをかなえてくれる、厳選住宅会社と腕利き庭企業の多彩な情報を、美しい写真と読み応えのある文章とともに紹介。また、瀬戸内エリアの庭に関わるハウツー・レクチャー記事を豊富に収録。瀬戸内各県の庭を愉しめるスポット...
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