SETOUCHI MINKA

瀬戸内のインディペンデントなブックカフェ&ブックストア

現代を生きる私たちにとって、日常に目まぐるしく飛び交う過多な情報をシャットアウトし、ゆっくりと心穏やかに過ごせる場所がきっと必要。その選択肢の一つとして、個性的で魅力あふれるブックカフェやブックストアを加えてみてはいかがだろう。美味しいコーヒーやスイーツを片手に、「人生を小休止する時間」を満喫できる瀬戸内各県の素敵なブックカフェとブックストアをピックアップ。

目次

珈琲と本と音楽 半空(香川県高松市)

無性にコーヒーと本と音楽に浸りたくなった日には。

高松市中心部。多くの飲食店などが軒を連ねる繁華街の一角に立つ古びた雑居ビルの2階に「半空」はある。細い階段を上がり入口のドアを開けると、こぢんまりとした薄暗い店内にコーヒーの香りが濃く漂う。壁面には小説やエッセー、歴史書、写真集など1,000冊以上の本がぎっしり。これらのほとんどは店主・岡田陽介さんのコレクションだという。少年時代から生粋の「本の虫」であり、またジャズやロックもこよなく愛する岡田さんは、本と音楽とコーヒーをゆっくりと楽しみ、見知らぬ本好き同士も互いの思いを共有できる空間を提供したいとこの店をオープン。鼻をくすぐる古書の香りと、スピーカーから流れる心地よい音楽に身を委ねながら、美味しいコーヒーや酒を楽しめる店として瞬く間に評判が広がり、幅広い年齢層の客で常時にぎわう人気店となっている。

何時間でも居座りたくなるムーディーな雰囲気満点の店内。本棚やカウンターにはたくさんの本が積まれ、読書好きにはたまらない空間だ。70年代のアメリカン・ニュー・シネマのポスターやパンフレット、ジャズやロックのビンテージ・レコードの味わい深いジャケットなど、岡田さんの愛が詰まったアイテムがセンス良く飾られており、これらを眺めているだけでも楽しい。

この日は店長の佐藤暖さんが淹れたてのコーヒーと、店の人気メニューのフルーツサンドを振る舞ってくれた。

コーヒーと共に酒類も豊富。ヘミングウェイや村上春樹、開高健など、文豪たちが愛飲したカクテルを再現したメニューも数多く取りそろえ、文学好きなら思わずニンマリしてしまう。

さり気なく飾られた小物もセンス抜群。

小さなカフェから生まれた地域の文学賞として今や多くの人たちに認知・支持されている「半空文学賞」。審査員には主宰の岡田さんのほか、県内外の著名人らが名を連ねる。

岡田さんが店の片隅で何やら文章を綴っている客の姿を目にし、「本好きの人が書いた文章を読んでみたい」と思ったことをきっかけに独自で立ち上げた「半空文学賞」も2022年で7回目。毎回「ことでん」「丸亀城」「ラジオ」「おへんろ」などのテーマで作品を募集、回を追うごとに各種メディアなどからの注目度が高まり、県内外からの応募も徐々に増えているとか。寄せられた作品をまとめた冊子を読んでいるうちに、自分も思わずペンを取りたくなってしまう。ページをめくる手を止め、何人もの客の手によってしわしわに波打ち黒ずんだ、おびただしい量の本がそこかしこに積まれた店内をあらためて見渡してみれば、岡田さんをはじめ、「半空」へ足を運んでくる多くの人たちの声が聞こえてくるようだ。本ってやっぱりいいもんだよね、と。

珈琲と本と音楽 半空

香川県高松市瓦町1-10-18 北原ビル2F
13:00~翌3:00
無休
087-861-3070
http://nakazora.jp

<取材・文/鎌田 剛史 写真/鈴木トヲル>

ブック マルテ(香川県高松市)

瀬戸内海を望む倉庫街にある、写真集専門のブックカフェ。

四季折々、表情豊かな瀬戸内を望む古い倉庫街「北浜alley」の中に佇むブックカフェ。写真集やアートブックを中心に取りそろえ。カフェスペースのカウンターでは、アートな空間に浸りながらコーヒーやお茶を楽しめる。隣にはギャラリーもあり、展覧会やトークイベントなども開催されている。

香川県高松市北浜町3-2 北浜alley内
11:00~19:00
不定休
090-1322-5834
http://book-marute.com

本屋ルヌガンガ(香川県高松市)

古くて新しい街の本屋。「あなたの馴染みの本屋になれますように」。

ふらりと友人の部屋に立ち寄った時のような親密さが空間を満たす店。慌ただしい店の外とは違う、隠れ家のような静けさの中で、本との出会いを楽しめる。本を通じた人々の出会いや、深く本を楽しむ機会を得られる、トークショーや読書会などのイベントも不定期で開催している。

香川県高松市亀井町11-13 中村第二ビル1F
10:00-19:00
火曜日休
087-837-4646
https://www.lunuganga-books.com

料理と本と珈琲 ゆるりと。(香川県さぬき市)

木漏れ日の中で、静かな時間を過ごしませんか。

海を望む森の中に佇む、静かなブックカフェ。心も体も満たされるカフェメニューを味わいながら、ソファでのんびり読書するのも良し、カウンターで雑誌を読むのも良し。自然科学や歴史、児童書や文学作品まで、幅広い蔵書がそろう。騒がしい町を離れて、読書の世界へ浸りに訪れてみてほしい。

香川県さぬき市津田町津田418-2
10:00~17:00
金・土曜日
0879-49-1515

ブックカフェ 書肆海風堂(香川県小豆島町)

窓から見えるレトロな風景と、書棚やギャラリーは格別。

映画関係の書籍やアート本などを美味しいコーヒーと一緒に楽しめる、映画好きにはたまらない空間。映画「二十四の瞳」の主演女優である「高峰秀子ギャラリー」は、彼女の著作本や関連本は全て取りそろえているという充実度。さらに、「劇団☆新感線」を映像化した「ゲキ×シネ」コーナーも人気。

香川県小豆郡小豆島町田浦甲931 二十四の瞳映画村内ギャラリー松竹座映画館2F
9:00~17:00 無休
0879-82-2455
https://www.24hitomi.or.jp/bookcafe

カフェ エスプレッシーボ セカンドシーズン(広島県広島市)

こぢんまりした隠れ家カフェで、どっぷりと一人の時間に浸りたい。

広島市中区袋町にある雑居ビル。昭和レトロな雰囲気が漂う1階の薄暗いアプローチを奥に進んで行くと「カフェ エスプレッシーボ セカンドシーズン」がひっそりと営業している。カラフルな壁や天井、ガラスの照明などでコーディネートされた店内は、ポップで可愛らしい印象。カウンター4席、テーブル10席のこぢんまりとした空間で、まさに隠れ家という言葉がぴったりだ。壁一面には約100冊の書籍がずらりと並び、小説、エッセー、写真集、アートブックなどジャンルはさまざま。ここにある全ての本は、簡単な感想を登録できる「ブッククロッシング」にも対応しており、次にその本を手に取った人がどの国のどんな場所で読んだかをホームページで知ることができるそうだ。

メニュー豊富。看板スイーツの「いちごまみれパフェ」は冬から春の期間限定メニューで要予約。常連客にはおひとりさまの女性が多いのだとか。

店主の岡山雅也さんは、このカフェのほか居酒屋とバーを広島市内で経営。

鮮やかな色の壁紙やインテリア、照明にもセンスがキラリと光る。

壁一面に陳列された本の数々は、前オーナーや岡山さんがセレクトしたもののほか、常連客から提供されたものもあるそう。

カフェを一人で切り盛りしている店主の岡山雅也さんは、2022年6月に前オーナーから経営を引き継いだばかり。「一人でも居心地よく過ごせる空間」というコンセプトはそのまま継承し、これからも誰もが気兼ねなく長居できる店にしたいと話す。岡山さんが腕によりをかけて提供する美味しいスイーツや料理に舌鼓を打ちながら、慌ただしい日常から離れた束の間の「おこもりタイム」を心行くまで満喫できる。

カフェ エスプレッシーボ セカンドシーズン

広島県広島市中区袋町8-14 ハイネス国泰ビルマンション105
11:30~23:00
不定休
082-258-2099
https://www.instagram.com/cafe.espreseebo2nd

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

古本と珈琲 楢(広島県広島市)

親しみやすい古本とプレスで淹れた美味しい珈琲を楽しめる小さなお店。

自宅の一部を改装したという店内。木材を多く使った内装と書棚は、訪れた人々に安らぎと落ち着きを与えてくれる。棚に並ぶ古書たちは、親しみ深いタイトルから新たな出会いを予感させるタイトルまで幅広い。プレスで淹れられたコーヒーは、読書に没頭して冷めてしまっても美味しく味わえると評判だ。

広島県広島市西区横川町1-10-30
11:00~18:00
火・水曜日休
082-234-3887
https://www.instagram.com/nara.books

ソファ ヒロシマ ブック アンド カフェ(広島県広島市)

自分らしいひとときを楽しむ、スローで気ままな時間を過ごすカフェ。

昼はリビング、夜はダイニング。さまざまなシーンで利用できるブックカフェ。本を読みふける、コーヒーや紅茶、夜にはアルコールを気ままにたしなむ…。「一人一人がパーソナルな時間を楽しめる空間づくり」を大切にしている。ぜひ自分らしい「sofa」でのくつろぎ方を探してほしい。

広島県広島市中区基町6-78 基町クレドパセーラ 3F
10:00~20:00
定休日は施設に準ずる
082-225-8230
https://sofabookcafe.com

こりおり舎(愛媛県今治市)

瀬戸内に移住した仲良し夫婦が営む、島の小さな書店&コーヒー店。

「しまなみ海道」の愛媛県今治市側から1つ目の島・大島にある「こりおり舎」は、2017年にこの島に移住してきた千々木大介さん・涼子さん夫妻が営むブックストアとコーヒー店。リノベーションした築約80年の古民家に、涼子さんがセレクトした本を販売する「こりおり文庫」と、焙煎士の大介さんが淹れたてのコーヒーを提供する「こりおり珈琲」が併設している。

幼少から本が好きだったという涼子さんは、故郷の北海道で大規模書店の立ち上げに携わった際に大介さんと出会い結婚。脱サラして焙煎士を目指す大介さんと共に栃木に移り住んだ後、大島へやって来た。手作り感を大切にしたという「こりおり舎」は、店舗以外にコーヒーと本の通信販売も展開。さらに、店舗の空いている部屋を活用したゲストハウスも営業している。

畳敷きの室内でのんびりと本を選べる「こりおり文庫」。柱や天井、床の間や格子窓といった意匠はそのまま残しており、まるで祖父母の家に遊びに来たような懐かしい気分に。

文庫に並ぶ本は、地元の人からの寄贈などで集まった古本が中心。新刊本も約500冊ラインアップしている。

大介さんが淹れるコーヒーのかぐわしい香りが漂う「こりおり珈琲」の店内。現しの梁や高い天井、土壁といった古民家ならではの雰囲気に癒やされる。休日には「しまなみ海道」を訪れたサイクリストや観光客でにぎわう。 

大介さんが淹れる自家焙煎のコーヒーは香り高く美味しいと評判。

庫で購入した本はコーヒー店に持ち込みOK。ゆっくり流れる島時間を感じながら、至福のひとときを満喫して。

大阪府出身の大介さんと、北海道出身の涼子さん夫妻。2017年に今治市の地域おこし協力隊員として大島に移住してからは、協力隊の活動とともにキッチンカーでのコーヒー販売も行ってきた。隊員の任期を終えた2020年に念願の店舗を構えた。

集落に正午を告げるサイレンが鳴り渡ると同時に、両店の看板に明かりが灯りオープン。書店は畳敷きの店内に靴を脱いで上がるスタイルで、古道具店などで購入した棚には、「暮らしに彩りを与える本」をコンセプトに取りそろえた約4,000冊の本が並ぶ。住まいや料理、掃除など暮らしに関するものをはじめ、絵本や百科事典、今治市が舞台の小説や民話、歴史研究といった郷土の本も充実。店内は壁を取り除いた以外はほとんど手を入れていないといい、田舎の民家ならではのノスタルジックな雰囲気に浸りながら、お気に入りの1冊をゆっくりと探せる。購入した本は隣のコーヒーショップに持ち込み可能。むき出しの梁や土壁が美しい空間で、美味しいコーヒーを片手にしばし読書にふけるのも一興だ。

こりおり舎

愛媛県今治市吉海町仁江2436
12:00~17:00
水~金曜日
0897-72-8006
http://www.corioliscoffee.com

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

book cafe okappa(愛媛県上島町)

離島の元保育所をセルフリノベーションした、自由気ままに過ごせるハートフル・カフェ。

愛媛県内の自治体で唯一離島だけで構成されている上島町。町内の島の一つである佐島に、土日のみ営業している「book cafe okappa」がある。2017年に東京から佐島へ移住してきた山之内彩美さんと武田由梨さんが、友人の大工や地元の学生たちと一緒に元保育所だった建物をリノベーションし、カフェとして2018年にオープン。ユニークな店名は、たまたま二人とも髪型がおかっぱだったことから名付けたのだとか。現在は彩美さんとご主人の信介さんが夫婦二人三脚で営んでおり、こだわりの自家製チキンカレーやピザ、地元産の果物を使ったオリジナルドリンクなどを提供している。

店内は島特有のゆるくて心地よい雰囲気に包まれ、誰もが肩肘張らずにのんびり過ごせる。過ごし方は自由気ままに。子どもたちがバタバタと走り回っても、仲間や他の客同士でワイワイおしゃべりに花を咲かせてもOKだ。

佐島に移住してきたおかっぱ頭の二人の女性が「島の人や観光客がのんびり過ごせて交流を深められる場所を」と手作りしたカフェ。島内外の民家の解体現場から集めてきたたくさんの廃材が至る所に使われている。カウンター上部の間仕切りには古いドアを利用。

ボロボロの土壁をはがしたり、汚れ傷んだ床材を磨いたり…。店内全てを約5ヵ月かけてリノベーションした。

本棚として使っている年季の入った木箱も全てもらったもの。 

愛媛の牛乳「らくれん」のレトロな箱に入った絵本のほとんども寄贈されたもの。

保育所の名残がそのまま残るレトロな下足室。

可愛らしいおかっぱ頭の山之内彩美さんと武田由梨さんのイラストが描かれた看板がお出迎え。

解体された民家の廃材や建具などを再利用した店内は、素朴な手作り感があふれる心地よい空間。カウンターや古い木箱の中には島の人たちが寄付してくれたという書籍や絵本が並ぶ。子どもたちが自由に遊べる和室へと続く廊下には、大正・昭和時代の食器入れや救急箱といった古びた箱を組み合わせた力作の本棚もある。ゆっくりと流れる島時間に身を委ねてリラックスできるのはもちろん、底抜けに明るい彩美さんや信介さんとの楽しいおしゃべりもこのカフェの魅力だ。離島の小さなカフェながらも、何度も足を運びたくなる。

店内廊下の壁面に鎮座するのは、大きさの異なる木箱を組み合わせた大工手作りの本棚。彩美さんの相方・由梨さんのご主人の親族が営んでいた秋田県の酒蔵からもらってきた木箱を利用したのだとか。

看板メニューのチキンカレーは、スパイスとバジルを絡めたチキンをホロホロになるまで煮込んだ自家製。地元で採れたみかんの100%ジュースと一緒に。

店主の山之内彩美さん。愛息の蒼波(あおば)くんはカフェのマスコット的存在。

彩美さんと共にカフェをオープンした由梨さんは、現在佐島を離れて松山市に在住。この日は家族3人でカフェに遊びに来ていた。

book cafe okappa

愛媛県越智郡上島町弓削佐島694
土・日曜日11:30〜17:00くらい
月~金曜日休
0897-72-9229
https://www.instagram.com/bookcafeokappa

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

本の轍-Book On The Tracks-(愛媛県松山市)

本と雑貨をハシゴして、ついでにコーヒーも飲める本屋さん。

衣・食・住に関する、暮らしや趣味をテーマにした本を中心に、新刊も古書も一緒に並んでいる書棚。思わず愛でたくなるような、ブックデザインに優れた、存在感のある本たちがセレクトされている。コーヒーやアルコールを飲みながら、ゆっくりと流れる時間の中でブックハントが楽しめる。

愛媛県松山市春日町13-10 小田原ビル1F
13:00~19:00
火・水曜日休
089-950-4133
https://www.honnowadachi.com

読×舎(愛媛県新居浜市)

本×コーヒー×海に囲まれた、小さな隠れ家。

瀬戸内海を望む自然豊かなロケーションに佇む、店主の手による改装が施された暖かな空間だ。ゆっくりと本を読みながら、コーヒーを飲み、お菓子を食べて過ごす…。季節の移ろいに寄り添いながら、のんびり本と向き合える場所。ここでの読書時間で、自分らしい「よむ」を見つけられるだろう。

愛媛県新居浜市荷内町3-63
11:00~18:00
不定休
080-8160-9433
https://yomikakesha.shopinfo.jp

カフェ ショーザン(愛媛県今治市)

海を眺めながらゆったりとした時間を過ごせるシーサイド・カフェ。

旅行者やサイクリストの休息場所や地元の人が気軽に集える場所として、居心地の良さを重視してつくられたカフェ。大きな窓から時間と共に表情を変える海を眺めたり、備え付けの双眼鏡で海鳥を観察したり、約1,500冊の蔵書から気になる本を読んだりと、ゆったりした時間を過ごしてみてほしい。

愛媛県今治市吉海町福田119
10:00 ~ 16:00
火~木曜日休(祝祭日等、特別営業日あり)
0897-72-8915
https://www.cafe-shozan.com/blog

城下カフェ(岡山県岡山市)

岡山城・後楽園に程近い、ひとりでゆったりくつろげるオシャレなカフェ。

岡山を代表する観光地の「岡山後楽園」「岡山城」をはじめ、 美術館、博物館、図書館など各種文化施設が集まる「岡山カルチャーゾーン」にあるカフェ。このエリアに訪れる文化・芸術の愛好家やビジネスマン、観光客などが、自分の家とは異なる「もう一つのリビングルーム」として羽を伸ばせるリラックスタイムを提供している。窓際に陳列された備前焼や「大倉陶園」のカラフルなコーヒーカップをはじめ、壁に飾られた写真家・植田正治さんの作品や、京都の「唐長」の和紙のアートパネルなど、オーナーの江見さんと松永さんが厳選したアイテムの数々もくつろぎの時間に彩りを添えている。

岡山の文化創造のメッカ「岡山カルチャーゾーン」の一角にある「城下カフェ」。落ち着いた雰囲気の店内では、時間を気にせずゆったりくつろげる。

店内に入ってすぐにある本棚には、カルチャーや旅行などの雑誌が並ぶ。本棚はオーナーの江見さんが特注オーダーしたもの。

店内には愛媛県の砥部焼もディスプレーされており、気に入った品は購入も可能。

多彩なジャンルの本がぎっしりと詰まった壁面の本棚。カフェオリジナルの美味しいスペシャルティコーヒーを片手に、どの本もゆっくりと読める。

岡山ゆかりの作家・原田マハさんのサインが入った本も多数。これらも自由に手に取ることができる。

さまざまなジャンルの本がぎっしりと並ぶ壁一面の本棚には、小学6年生から高校卒業まで岡山市で過ごした小説家・原田マハさんのコーナーも。本人直筆のサインが入った作品が多数あり、誰でも自由に手に取ることができる。2015年に原田さんの原作小説『でーれーガールズ』が映画化された際には、この本棚の前で撮影が行われるなど、原田さんのファンはもちろん、文学・映画好きなら一度は訪れたい場所だ。地元農園から直接仕入れた希少なフルーツのスムージーや、地元産食材を中心に使った絶品ランチも気分を高めてくれる。

城下カフェ

岡山県岡山市北区表町1-1-8 ライオンズタワー岡山表町1F
11:00~22:00
火曜日
086-231-1800
「城下カフェ 岡山高島屋店」も営業中。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

つづきの絵本屋(岡山県倉敷市)

大人にも子どもにも優しく効く、副作用のない心の薬をあなたに。

自分のために、そして大切な人に手渡したい絵本と出会える。ゆっくりと話を聞いて絵本を紹介してくれる絵本専門士がいるブックカフェ。ティーインストラクターの店主が丁寧に入れた紅茶と、自家製スイーツを楽しむことができる。併設するギャラリーでは、原画展などのイベントも開催している。

岡山県倉敷市川入694-7
10:00~18:00
水・木曜日、毎月21日休
086-476-0415
https://tsuzukinoehonya.com

高橋人生堂書店(岡山県倉敷市)

全国の“ハルキスト”が集い、語らうブックカフェ。

村上春樹の大ファンである店主が営むブックカフェ。ほとんどが彼の作品で埋められた書棚は圧巻。その中央にあるテーブル席で味わう、店主手製の日替わりランチや夏季限定のフルーツ酢は絶品。村上春樹が名付け親である店で、店主やその日集った仲間たちと語らってみるのはいかがだろうか。

岡山県倉敷市茶屋町431-25
11:30~17:00
火・日曜日休
086-428-7184

カフェ モヤウ(岡山県岡山市)

目前に川が流れる、人と人・人と本とを舫う喫茶店。

好きな本を読みながら、ぼんやりと川の流れを眺める――。カウンター席のほかに、畳が敷いてあるスペースや地下のスペースがあり、気分に合わせて居場所を決められるのも魅力の一つ。カレーやオムライスなどのフードメニューも人気。忙しい日常から離れ、ゆっくりのんびり過ごしてみてほしい。

岡山県岡山市北区出石町1-10-2
朝9:00~11:00、月~土曜日11:30~18:00(L.O 17:30)、日曜日11:30~16:00(L.O 15:00)
不定休(SNSにてお知らせ) 086-227-2872
https://www.instagram.com/cafe_moyau

短編喫茶Un(兵庫県豊岡市)

趣ある温泉街に佇む、「小さな物語」の専門店。

温泉と文学の街として知られる兵庫県豊岡市・城崎温泉の駅通り沿いにある「短編喫茶Un」は、2021年11月11日にオープンした施設。ブックストア、カフェ、セレクトショップを併設しており、誰でも気軽に訪れることができる。店名の通り5分~1時間ほどで読み終える「小さな物語」の本を中心に取りそろえており、エッセーや詩、和歌、俳句、絵本、写真集、アートといった多彩なジャンルの作品を約3,000冊ラインアップ。全ての本は店内にある席で自由に読むことができ、気に入った本はそのまま購入も可能だ。併設するカフェではスイーツやドリンクを提供。看板メニューの「生バターどら焼き」は、試作を繰り返しようやく完成にこぎ着けたという進化系スイーツで、季節限定の「爽やかレモン」、定番の「日本海の塩ミルク」をはじめとする6種類の味から選べる。店内でお気に入りの本を片手に味わえるのはもちろん、テイクアウトもOK。但馬、丹波、丹後地方の名産品をはじめ、地元作家の手作りアイテムなどを一堂に集めたセレクトショップもあり、城崎温泉を訪れたらぜひ立ち寄りたいスポットだ。

店内で目を引くのが本をモチーフにしたオブジェ。あちらこちらにフォトジェニックなスポットもあり、つい長居したくなる落ち着いた空間。

「小さな物語の専門店」がコンセプトのブックストアには、独自でセレクトした多彩なジャンルの本がずらりと並ぶ。

本棚には「5分で読める本」「30分で読める本」「1時間で読める本」「一生かけて読む本」など、時間別で分かりやすく分類された企画棚もある。

広々とした2階も利用可能。靴を脱いでくつろげるスペースや、暖簾のかかった半個室もあり、ゆっくり過ごせる。

看板スイーツの「生バターどら焼き」は6種類の味。好きな味のどら焼きを頬張りながらしばしひとりの時間に浸ろう。

地元の名産品を集めたセレクトショップも併設。

城崎温泉でしか買えない城崎にまつわる本「本と温泉シリーズ」も販売。『城崎裁判』は温泉に浸かりながらでも楽しめる本。

短編喫茶Un

兵庫県豊岡市城崎町湯島127
10:00~18:00
木曜日
0796-32-4677
https://www.kinosaki-un.com

<写真提供/短編喫茶Un 取材・文/鎌田 剛史>

ブックカフェ されど…(兵庫県加古川市)

「大人の隠れ家」で、本とJAZZとコーヒーを楽しむ。

コーヒーを飲みながら、ゆったり本に浸れる空間が広がるブックカフェ。幅広いジャンルの約3,000冊の本は、店内で自由に読めるだけでなく、貸し出しや販売も行っている。読書に疲れたら、ハンモックでギターを弾いたり、卓球でリフレッシュしたり。自分だけの楽しみ方を見つけてほしい。

兵庫県加古川市西神吉町岸 790-18
10:00-18:00
月~金曜日休(祝日の場合は営業)
079-431-3439
https://saredo.exblog.jp

ブックカフェ ウルム(兵庫県神戸市)

「今日は暇だけどどこに行こうか。そうだ、あそこに行けば誰かに会える。」

「本の魅力を知る場を提供したい」という想いから誕生した、出会いを大切にするブックカフェ。一人で想いを巡らし、アイデアと出会う。たくさんの本を読み、未知に出会う。仲間で集まり、創造と出会う。ここでのさまざまな「出会い」から、きっと自分の世界は広がっていくだろう。

兵庫県神戸市東灘区本山北町3-4-9
12:00~18:00
月~水曜日休
070-1763-8232
https://bookcafe-ulm.jp

古本と喫茶 トキシラズ(兵庫県相生市)

夜遅くまで、ゆっくり過ごせる古本喫茶。

遅くまで読書にふける幸せを噛み締められる喫茶店。古本の買い取りや販売もしているため、気に入った本を購入できるのもうれしい。店内で作られているケーキやコーヒー・紅茶を味わいながら、読書時間を楽しめる。店名の通り、時代や流行にとらわれず、思い思いにゆっくりと過ごすことができる。

兵庫県相生市那波大浜町11-15
13:00~23:00
火・水曜日休
0791-22-7401
https://www.bookcafe-tokishirazu.com

パーランドコーヒー(兵庫県姫路市)

スペシャルティコーヒーのエスプレッソ専門店。

スペシャルティコーヒーのみを使用したエスプレッソと、ランドスケープデザイナーによる雑木林を再現した庭が、心を穏やかにしてくれる。古本の販売も行っているため、購入した本をテラス席で読み進めるのも良い。コーヒーと木々の香り、風の心地よさを感じながら、忙しい日常から離れてみよう。

兵庫県姫路市伊伝居8
12:00~18:00
水・木曜日休
http://www.cafe-parland.com

ブックカフェ ドア(兵庫県宝塚市)

本と、お菓子と、デザイン。

デザインオフィスが併設している、インテリアデザイナーが代表を務めるブックカフェ。実用書から選りすぐりの小説まで、さまざまな本と出会うことができる。専属のパティシエが作る季節のスイーツを読書のお供に、本の世界に浸るのはもちろん、感想をシェアする空間としても使える。

兵庫県宝塚市仁川北3-6-3 ジュエル仁川102
11:00~18:00
水曜日休
0798-77-5078
https://bookcafedoor.com

本の香り(兵庫県高砂市)

コーヒーでも飲みながら、本を手に、気軽に、ゆっくりと。

読書やPCワーク、勉強はもちろん、キッズコーナーも完備。子どもも安心してゆっくりとくつろげるブックカフェで、図書館のように本の貸し出しも行っている。自家焙煎コーヒーを中心に、クリームソーダやクラフトコーラ、地元の野菜を使ったカレーなど、フードメニューも充実している。

兵庫県高砂市神爪1-2-11
10:00~18:00
木曜日
079-498-0590
https://www.instagram.com/hon_no_kaori

ロバの本屋(山口県長門市)

街の喧騒から逃れ、心穏やかな時間を過ごせるブックストア。人里離れた山奥でひっそりと営業中。

瀬戸内海に面した山口県宇部市から北へ約60㎞。長門市の山間部にある俵山温泉郷から車で5分ほどのひなびた場所に、1軒の古い小屋がぽつんと立っている。素朴で懐かしい佇まいを見せるこの小屋は「ロバの本屋」。12年前に東京からこの地に移住した、いのまたせいこさんが営む小さなブックカフェだ。元々は牛舎だった建物をいのまたさんが一人で改修し、本や雑貨などの物販ブースと、豊かな自然を望みながら読書に没頭できるカフェスペースを手作りした。いのまたさんが「いい本だな」と心に響いた本のみを取りそろえ、そのジャンルは小説から料理本、絵本、写真集、個人出版本に至るまでバラエティ豊か。本以外にもポストカードやボールペン、スタンプなど、可愛い雑貨や文房具も取り扱う。店内の一角にはイベントスペースも設けられており、県内外のアーティストによる陶芸作品や絵画、写真などの多彩な企画展も随時開催している。

周囲を山々に囲まれた長門市俵山の僻地にぽつんとある「ロバの本屋」。東京からご主人と一緒に移り住んできたいのまたさんが2012年にオープンした。店舗の奥には夫婦で暮らす母屋がある。

いのまたさんが全て一人でリノベーションした店内。屋号は、いのまたさんが以前に東京で経営していた「ロバロバカフェ」の名を継承した。当時の客が東京からわざわざここまで足を運んでくることもあるという。

古材で作った本棚には、いのまたさんが厳選した本が並ぶ。本の在庫が増えるごとに少しずつ棚やストッカーも増やしてきたそう。

本や雑貨の陳列には、古道具店や海外で購入したビンテージのショーケースなども利用している。

いのまたさん手製のオリジナル本も販売。仲間と一緒に育てている綿の栽培記録をはじめ、ロシアを訪れた際に集めたトイレットペーパーの包装紙の切れ端をそのまま貼り付けた旅行記など、ユニークな企画の本も。

併設するカフェスペースもいのまたさんのセルフビルド。ドリンクを片手に読書にふけったり、カウンターから山々を眺めてぼーっとしたり。冬はガスボンベを改造した薪ストーブが室内を暖める。

お気に入りの本と巡り会えたら、窓越しに美しい自然を眺められるカフェのカウンターでほっと一息。

建築関係の学校に通っていたことや、これまで全国各地の古民家に修理しながら住んできたという豊富な経験から、DIYが得意だといういのまたさん。店を訪れたら人懐っこい愛犬・ビクターと一緒に笑顔で迎えてくれる。

古民家の解体現場でもらってきた廃材でセルフビルドした本棚やカウンターテーブル、壁の寸法に合わせて裁断したガラス窓、ペンキでお色直しした古いブロック塀…。鳥の鳴き声だけが爽やかな風と一緒に山の木々の間を抜けてくる静寂なロケーションと、手作り感いっぱいのマテリアルにあふれる店で過ごす癒やしのひと時。それは「リトル・ハピネス」と言っても大げさではないはずだ。

ロバの本屋

長門市俵山6994
土・日・月・火曜日、祝日
11:00~17:00
水~金曜日休
0837-29-0377
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<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

瀬戸内の文学にスポットを当てた読み応え十分の特集記事は本誌でぜひチェックを。

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