SETOUCHI MINKA

思いを込めた庭づくりが信条、至福の喜びと感動に満ちた仕事を。【庭師の矜持。】

瀬戸内各県には、先人たちが生み出し発展させてきた技法を一途に守りつつ、
現代のセンスを織り込んだ全く新しい作庭を追求し、日々研さんを重ね続ける匠たちがいる。
毎日の暮らしに季節の彩りと癒やしを与える庭づくりに定評のある瀬戸内の庭師6 人を訪ね、
日本が誇る庭の伝統技術の保存と継承への覚悟、現代の暮らしへと融合させる工夫、
そして、一貫して情熱を注ぎ続ける庭づくりへの思いを聞いた、インタビューシリーズ。

TEXT_ 鎌田 剛史

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

思いを込めた庭づくりが信条、
至福の喜びと感動に満ちた仕事を。

メイン

機能性とコスパを考えた庭に、
付加価値を与える「愛着」を加えて。

 私は中学生のころから職人に憧れていたんです。高校は農学部系の学科に進学したのですが、そこで出会った恩師に将来の進路について「高校時代に学んだことを生かせる職人になりたい」と相談したところ、庭師を勧められたんです。それがこの道に入るきっかけになりました。その恩師とは今でも懇意にさせていただいているのですが、人生のターニングポイントにおいて、自分の生き方を決定づける貴重な助言をいただけたことに、心から感謝しています。
 高校を卒業してから25年間、庭師として自分の感性を信じ、流行に流されることなく一途に歩んできました。丈夫で美しく伸びすぎない植物の選定や、それぞれの木が持つ雰囲気を生かした配置、石やレンガ、土を使った個性的なアプローチなど、お客さまの要望に応え、想像を超える驚きと感動に満ちた空間を提供できるよう、常に全力で庭と向き合ってきました。現代の庭は「風景」をリスペクトし、使い勝手やランニングコストを意識したものが主流になってきています。私はそんな庭に「見栄を張って自慢できる」という「愛着」の要素を加え、庭の価値をさらに高めるための創意工夫を心掛けています。具体的には敷地間や配置上の庭との接点を重視し、空間の広がりを意識した庭ですね。
 作業が進むにつれてお客さまのテンションが上がっていく様子を目の当たりにしたり、引き渡しの際に驚きと感動の笑顔をいただいたりした時はやはり庭師冥利に尽き、今でも最高に幸せを感じる瞬間です。これからもお客さまから信頼されるようたゆまぬ努力を重ね、私にしかできない仕事をしていきたいと思っています。

Professional Gardener Tools

刃物

刃物
剪定バサミなどの刃物はその日の気分や樹種によって使い分けています。音の良いハサミは使っていて心地いいんですよ。

こて

こて
こても土仕事用やセメント仕事用など多数所有しています。造園工事に欠かせない地ごては必ず持っていくようにしています。

石道具

石道具
石材加工に欠かせない相棒たち。石をはつる、割る、叩く、ならすといった作業ごとに、石のみ、コヤスケ、石頭、ビシャンなどを使い分けます。

菊池 潤:きくち じゅん

1979年生まれ。A型。
旅とドライブが趣味。
座右の銘は「楽しそうに生きる」。
「庭連」所属。

菊池さん

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