目の前を国道の高架が走るというロケーションでありながら、室内はどこか別世界のような静けさ。南には隣家が高く迫るが、その存在はなきもののように、伸び伸びとした空間が広がる。「近藤建設興業」が長年取り組んできたパッシブデザインの知見を存分に盛り込んだこの家は、一般的には不利と言われる条件の中でも、これだけの可能性があるということを示してくれる。「敷地に入る季節ごとの風の向き、光の角度を調べて、窓の位置や開き方を決めているんです」と話すのは、設計を手掛けた近藤社長。南の日照は望めないものと割り切り、代わりに遮るもののない東〜南東からの、午前中の光を効果的に取り込むプランとした。2面のサッシで大きく開口を取り、深い軒と縁側で内外をつなげる。隣家の視線を柔らかく遮る植栽は、縁側から手が届くほどの距離に寄せて植え込み、暮らしと自然とをより近くに感じさせる。ダイニング脇の窓にはウインドキャッチャーを設け、横からの風を室内に呼び込む。エアコンはリビングを暖房用、階段上を冷房用と使い分けることで自然の気流を最大に生かし、最低限の使用で年中快適な温度をキープする。さらりとした足触りの床をはじめ、天井板、構造材は全て岡山県産材。国産材の中でも意識的に地元の素材を用いるのは、地域の森林と産業を守るとともに、できるだけ輸送にかかるエネルギー消費を抑え、環境負荷低減を図る目的も大きいという。自然素材の心地よさに包まれて、軒の陰から豊かな緑を楽しんだり、日だまりの畳でごろりとしたり。街に暮らしながら、四季の自然を心ゆくまで楽しめる住まいとなっている。
建築実例データ | |
|
私たちは単に家をつくっている業者ではありません。「家族が幸せになる家」を一緒につくり上げていくパートナーなのです。家は暮らしの、人生の基盤。お客さまの人生を共につくり上げていくという使命に恥じることなく誠意と信念を持って「幸せな家」を提供してまいります。
代表取締役 近藤 直岐