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SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA

自然素材の産地を訪ねて。【岡山県産木材】

現代において、かつての日本で行われていたような自然素材を使った家づくりの素晴らしさが見直され、木・石・土などの自然素材を使った家の評価が高まってきている。地元の気候風土の中で育まれた“ふるさとの恵み”を生かした住まいは、
毎日の暮らしに癒しと潤いを与え、健康で快適なものにしてくれる。そして高い耐久性を誇り、いつまでも安全・安心に暮らすこともできる。

豊かな自然の恩恵を受けた天然素材を生かした製品づくりの盛んな街が、この瀬戸内地域に存在しているということを知らないという人は意外にも多い。そこには、古来より受け継がれてきた伝統の技と知恵を一途に守り、未来を見据えながら新しい価値を創造しようと、木・石・土に日々向き合い続ける人たちがいる。「国産木材」「石製品」「日本瓦」。日本でも有数の一大産地に恵まれた瀬戸内地域は、まさに地元の自然素材を使った家づくりに打ってつけの場所であるといえる。

森林の恵み、生かす郷。

岡山県真庭市/岡山市

住まいを形づくる重要な素材、「木」。建材となり施主のもとへ届くまでには、職人の手から手へと渡る物語がある。
木と向き合う岡山の匠たちと出会い、木材が誕生する過程を追った。

県産材を次代へつなぐ、知られざる営み。

 県土の約7割を森林が占める岡山県は、素材(丸太)生産量が全国の1.6%を占め、47都道府県中20位。中でもヒノキの素材生産は盛んで、平成24年から28年、平成30年で全国1位を誇る。日本の山は西欧と比べ急峻で、重機も入れにくいため、素材生産者と呼ばれる林業の職人が山に分け入り、チェーンソーや鋸を用いて人力で大木を切り倒す。経験を要する大変な作業だ。伐採後、その場で枝を切り払い、木の特徴に合わせた規定の寸法に切断する「玉切り」をし、「原木」として市場へ搬出。製材所で製品化される。

 こうして木は建材として生かされていくが、木を生かす営みは、伐採したら終わりではない。次の木を植え育てていく。木の生育には長い年月を要する。住宅の柱に使える3.5~4寸(直径約10~12cm)の太さに成長するまでに20~30年。屋根の荷重を受け止める桁として使えるまでにはその3倍はかかるという。その年月の間、職人たちは木が伸び伸びと育つよう、細やかに手をかける。こうして精魂こめて育てられた木は、数十年かけてようやく伐採され、住まいに姿を変えていく。木を伐り再び植えることには、意外な効用もある。木も樹齢を重ねれば、次第に光合成の必要がなくなり、二酸化炭素を吸収しなくなるという。育った木を伐採し、新たな苗木を育てていくサイクルは山を活性化させ、環境を守ることにもつながる。

木に隠された個性を読む男たち。

 伐採された原木が、まず運び込まれる「原木市場」。ここで製材所などの「買方」に販売される。市場では日にちを決めて「せり売り」が行われる。せりとは、木材に対して複数の買方が値段を競い合い、もっとも高値を付けた買方が購入権を得ること。真庭市月田にある原木市場「真庭木材市売」を訪れたこの日は、まさに十日に一度のせりを行う市日。製材所の人々が続々と集まってきた。

 広大な敷地に大量の原木が積まれている木材市場だが、実はすべてが買方のニーズに基づき仕分けられている。長さや太さ、反り具合などから、製材でどんな木材が採れるか、どのように活用できるかまで見極める。市場の人々は、外皮の下の「木の個性」を見極める目を持つ。だからこそ、買方の求めるものをそろえ、需要に的確に応えることができるのだ。

ここは最新情報の発信基地。

 原木のほかに「製品」と呼ばれる製材後の木材も扱う市場には、新製品や木材市場のトレンドなど、さまざまな最新情報が集まる。隔週の市と年に四度の特市イベントを行っている岡山市中区平井にある木材市場「岡山木材市場」では、買方により良いものを購入してもらうため、スタッフが情報を敏感に集め、常に学び、せりの口上に磨きをかけている。イベントではパネルディスカッションなども企画され、市場も買方もともに学ぶ機会を提供している。
「真庭木材市売」も「岡山木材市場」も、せりと聞き思い浮かべるイメージとは異なり、市場と買方のやりとりは朴訥として和やかだ。木を愛し、建てる人に届けたいという共通の思いが、市場全体に満ちあふれている。

一本入魂、妥協なき追求。

 敷地に足を踏み入れた瞬間、森に佇んでいるかのような木の香りに包まれる。ここは真庭市富尾にある製材所「山下木材」だ。
 現在は作業の多くが機械化されているが、木は生き物であり、部位により木目も違えば節の状態も一本一本異なる。一本の原木からどのような部材をどのように取れるかも、一つとして同じではない。木の根元に近い方を元口、梢に近い方を末口といい、住宅の柱として使う場合は元口側を下にする。このため製材前に向きもそろえる必要がある。水分を含んだままの木は乾燥するにつれ変形や収縮を起こすため、製材後は住宅資材に適した含水率まで乾燥させる。人工乾燥の場合、巨大倉庫のような乾燥機を用い、1%単位で含水率の調整が行われる。10~15%に落とした後、倉庫内で期間をおいて周囲になじませ、環境にあった含水率に落ち着かせる。
 こうして完成した木材は、熟練の職人により厳しく検品される。製材機の刃の当たりそこない、木にひそんでいた虫腐れまで見逃さない。質にこだわる情熱に、一切の妥協はない。

木の住まいは生まれ続ける。

 原木から製品へと木が生まれ変わる過程に関わるプロたち。その言葉や仕事ぶりから伝わってくるのは、「山を守り、木を提供し続けたい」という尽きせぬ想いだ。
 製材までの過程にも山を育てることにも、コストと多大な労力がかかる。それでも木を知り、愛する男たちの熱い思いがあればこそ、これからも木材が生み出され、家族を温かく包む木の家が生み出され続けるのだ。

【取材協力/㈱岡山木材市場 真庭木材市売㈱ 山佐産業㈱ 山下木材㈱】

岡山県産木材のレポート記事は

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