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SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA

古民家礼賛。【宇野千代生家】

温暖な風土に育まれながら、人々の生活とともに進化・発展を遂げてきた瀬戸内の民家。古より長い年月を経た現在でも、瀬戸内沿岸の各県には歴史的にも貴重な質の高い古民家が現存している。その数ある古民家の中から、「女流作家が愛した美しい庭のある平屋」を訪ねた。

宇野千代生家

登録有形文化財山口県岩国市

日本人の琴線にふれる美しい庭、稀代の女流作家が愛した家。

山口県岩国市出身の文豪・宇野千代。ふるさと岩国を舞台にした『おはん』をはじめ、『風の音』『生きて行く私』など数々の名作を紡いだ彼女が生まれ育った生家が、「錦帯橋」から徒歩約20分の旧山陽道沿いにひっそりと建っている。明治初期に建てられた築約150年の小ぢんまりとした平屋は、1974年に千代の手によってほぼ昔のままに修復。国の登録有形文化財にも指定されている名宅だ。

旧山陽道沿いの岩国市川西地区にある「宇野千代生家」。明治初期の民家の佇まいを残しながら住宅街にひっそりと建っている。通りには千代の菩提寺である「教蓮寺」や、 古びた社などもあり、昔懐かしい雰囲気が漂っている。玄関にかかる表札は千代が自筆したもの。ベンガラ格子と白い漆喰の壁を備えた平屋。46年前に復元修理を手掛けた大工が、今でもベンガラの塗り替えや、建具の立て付け調整に訪れているそう。

千代が大好きだったという縁側から眼前に広がるのは、約100本もの紅葉が植えられた森のような庭。木漏れ日が差し込み、春の新緑から晩秋の燃え盛るような紅葉まで、四季を通じて多彩な美しさを見せる。この息をのむような格別の景色に誰もが思わず見とれてしまう。縁側にひとり腰掛け、庭の景色を静かに見つめながら2時間近くも物思いにふける来館者もいたという。

庭を眺めながら執筆活動をしていた文机もそのまま残されている。原稿用紙とそれを押さえる文鎮代わりの刀のつば、その脇に6B鉛筆が置かれている。千代愛用の湯飲み茶碗には、今でも毎日茶が注がれている。 

生家は2005年から一般に公開。千代の直筆原稿やゆかりの貴重な品々が多数展示されている。千代の作品を愛する人にとってはこの生家は聖地。大勢のファンが全国各地から訪れている。NPO法人のメンバーが毎日交代で邸内を隅々まで清掃。来館者の案内までボランティアで行っている。

約300坪の敷地内に広がる庭。紅葉の木は千代自身の手によって植えられ、枝の剪定はせず、そのままに育てることを好んだという。庭には瓦を縦にして地面に埋めた小道があり、千代はわら草履をはいて毎日歩いたのだとか。小道の途中には、地元のファンが「錦帯橋」の掛け替えの際に不要となった古い端材で作ったベンチが置かれている。紅葉が濃い赤や黄色に染まる晩秋の庭の美しさは格別。毎年11月には「もみじ茶会」が開かれ、野だての抹茶と千代の好物だった「いが餅」がふるまわれる。

【取材協力/NPO法人 宇野千代生家】

宇野千代生家

所在地/山口県岩国市川西2-9-35
開館時間/10:00~16:00 入館料/大人310円、小中学生100円、障がい者100円
定休日/火曜日(祝祭日は開館)、年末年始 ※無料駐車場有 問い合わせ/0827-43-1693
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宇野千代生家への訪問記事は

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